東京オリンピックを予定していた2020年。そのオリンピックが延期になるほどの危機であるCOVID-19パンデミックが世界中に広がりました。多くの町で外出が規制され、経済活動が止まっていると、いかに社会を支えるインフラが大事であったかが分かります。この災禍から見える生活の基盤である社会インフラについて考えてみましょう。
Contents
医療関係者にエールを
中国から始まったCOVID-19のパンデミックはヨーロッパに渡ってからその恐ろしさが加速したように思われます。多くの国で、戦争と同じ国家非常事態宣言が発動され、大事な経済活動もストップするほどの事態となっています。
もとはコウモリにあったコロナ・ウイルスが変異して人に感染し、さらに人から人へ感染するウイルスとして変異したと言われています。そのウイルスがヨーロッパに渡って爆発的に感染してパンデミックとなり感染者数が増えれば、その中でさらに変異している可能性があります。
日本の状況を見ると第一波の中国からの感染は比較的抑制ができたのかもしれませんが、第二波のヨーロッパからの感染が抑えきれなかったようです。ヨーロッパでウイルスの感染力が高まったのかもしれません。
発生源である中国と、早期に感染者数の増えた韓国は世界中の国との往来が止められていたことでヨーロッパからの第二波の感染が抑えられていると考えられます。世界で一番感染者数と死亡者が多くなったアメリカは同様に中国よりもヨーロッパからのウイルスを抑えきれなかったのです。そして、感染者数の多いアメリカで再度変異が起きて第三波の可能性も考えられないわけではありません。
未知のコロナウイルスということで、感染力はもちろん症状や治療法もわからないままパンデミックになると国によっては医療崩壊が現実になっています。そして医療関係者の中にも志望者が出ています。
このような過酷な事態の中で、医師や看護師などの医療関係者はまさに寝る間も惜しんで、人命を救うために働いてくれています。目の前に感染者のいる現場で、接触しながら働く勇気は、感染者に近づくことも恐れる一般の市民の立場から見て、これ以上に尊いものはありません。
だからこそ医療関係者にエールを送るムーブメントが世界中に広がっています。
人にとって健康は日頃から最も大事にしているものです。しかし、健康であればあるほど日常的に医療関係者との関わりは薄く時には忘れることもあります。このような非常事態になって改めて、いかに医療関係者に私たちの生活が支えられているかを知ることになりました。
その最中に、医療関係者が使うN95マスクや医療用ガウンを、医療関係者でもないのに使用したり、あるいはネットで販売したりする人がいます。もちろんあってはならないことであり、すぐにも医療関係者のいる現場に届けるくらいで良いはずです。
自己の損得や利益優先の経済性ばかりが招いている行為ですが、このようなパンデミックの中で損得無しで活動しているのが医療関係者です。そして同じように社会を維持するために欠かすことのできない仕事もたくさんあるはずです。
エッセンシャル・ワーカー
パンデミックの中、感染者数が増えれば増えるほど医療関係者は忙しくなるばかりです。休日だからといってウイルスが休むわけではなく、その過酷さは誰でもが想像できることです。
政府や自治体はテレワークを呼びかけていますが、医療の現場では到底適いません。同様にテレワークできない仕事が他にもあります。
たとえば介護を抱える方々も医療関係者と同様に、感染の危機を感じながらも現場にいないわけにはいきません。施設はもちろん自宅介護であっても変わりなく、しかも介護にも休日はありません。これまで以上の緊張感の中で業務を継続するしかないのです。
こうした必須労働者はエッセンシャル・ワーカーと呼ばれて社会全体で感謝をしないわけにはいきません。
他にも鉄道・バスなどからタクシーを含め、交通機関に働く人たちも同様です。中国や欧米とは違い、日本では交通を止めるロックダウンまでは実施していません。そして郵便をはじめとする運輸運送の仕事も含まれます。これらの労働者もテレワークができないのはもちろんの事です。
食料品店に働く人たちも同様です。多くの人と接する機会も多く、感染の危機にさらされながら働き続けてくれています。その食料も、農業や漁業関係者によって供給されています。農業も同様に休日に手入れをしないで農作物が勝手に育つわけではありません。
報道等では、印鑑のためにテレワークできない話が取り上げられることもありますがそんな悠長な状況ではありません。本当にテレワークができないエッセンシャル・ワーカーがいて社会が支えられているということです。医療関係者と同時に、社会を支えるエッセンシャル・ワーカーも讃えないわけにはいきません。
生活保護費用
一方で社会活動を自粛することで収入が絶たれて困っている人たちもいます。この記事を読んで頂いている中にも、きっといらっしゃることでしょう。どんなに自粛をしても食事と就寝だけは休むわけにはいきません。
その意味では、日本政府の10万円の給付金は生活を保護するための食費を賄ってくれたものと考えた方が良さそうです。もし、自分には食費は足りていると感じていれば給付金は医療関係者のマスクやガウンに回してもらう選択もできます。
一方、身体を休める就寝はまさに居住費として表面化します。貸家であればどんない自粛をしていても家賃が発生してしまいます。
事業を営み、売り上げが激減していれば、店舗の家賃はなおさら深刻な問題となります。生活への手当だけでは足りません。かといって、収入減の状況は事業者によって違い、家賃とは関係がありません。家賃の問題は給付金の次に解決すべき政府の大きな問題となっています。
持家か賃貸か
この機会にあらためて持家の価値を考えてみましょう。極端に収入が減少したとしても、もし持家に住んでいれば家賃の心配をする必要はありありません。住宅ローンがあったとしても緊急事態宣言中の事です。少なくとも返済期間を延ばす緩和策など、これまでの災害と同じように政府が真っ先に取り組むことです。
こうした持家の優位さは老後の資金として2000万円用意する必要があると言われた年金問題とも共通しています。65歳までに住居費の負担を減らしておかなければ、老後を迎えられない時代になっていることが問題となりました。 持家で無ければ、これからの時代は老後を迎えられないのです。
ここでは逆説的に貸家のオーナーになってみると、その差に気づかされると思います。家賃を取れる資産家はこれほど経済が止まっても収入が減るわけではありません。たとえローンがあっても政府が真っ先に取り組むことは同じです。
災害が格差社会をさらに広げてしまう可能性があります。せめて自分の暮らす家という資産を確保することは、やはり災禍を想定した時の大事な対策のひとつになるはずです。
2万人・校・局・社
逆に活動が止まることで大事な社会インフラであることを知らされることもあります。その代表が学校です。
緊急事態宣言によって学校が休みになると子供の世話をするために経済活動を止めざるを得ない家族が出てきます。
それだけ学校が社会の基本インフラになっているということです。学校が活動しているからこそ経済が支えられているのです。
その中でも義務教育としての小学校は子供の足で通える範囲に有り、なおかつ通えない子供がいてはいけません。日本全国で約2万校の小学校があって、ようやくこの教育インフラが支えられています。
じつは医療にも似た数値があります。医療体制の充実を目指し人口5000人あたりに1人のかかりつけ医による体制づくりを想定しています。学校と同じように医療の届かない人がいてはいけません。日本の全人口を5000人で割ると、およそ2万人強のかかりつけのお医者様が必要となります。
そしてエッセンシャル・ワーカーとしての運輸を担う郵便局もやはり全国におよそ2万局あります。民間では届かない配送物も郵便では届かない場所は基本的にありえません。
つまり、日本の社会を支えるインフラでは約2万の拠点が必要なのです。
じつは、法律に定められた瑕疵担保責任を負いながら、お客様の在宅を守っている建築会社も全国におよそ2万社強あります。持家はもちろん貸家やマンション、そして分譲住宅を含めて、およそ100万戸の住宅はこの2万社強の建築会社によって建設されています。
家のインフラストラクチャー
この中には、千戸以上を手がける大手メーカー数社もあれば地域に根ざした建築会社も多数あります。
その中でも、貸家やマンション、そして分譲住宅の多くは大手住宅メーカーが手がけていますが、じつは持家住宅の7割以上は地域の建築会社によるものです。
今回のコロナウイルス渦は人間の病気であり、建築会社の活動の場は急遽建設される救急施設など限られています。しかし、地震や台風・洪水などの災害では今の医療関係者のように自分の被害も忘れて地域の住宅被害への対策に乗り出すのは建築会社に他なりません。
緊急事態宣言後には、政府の活動よりも県などの自治体の戦略の方が地域の実体に合わせた活動ができることもよく分かってきました。遠くに本社がある大手メーカーより、地域に根ざした建築会社を知っておくことの大切さを改めて考えさせられます。
さらに緊急事態宣言後に段階的に活動を始めるのは各国でも建設業と製造業からです。経済再建の先陣を担うのです。
もちろん平穏な世の中では反社会的な活動以外に有用ではない仕事はありません。あらためて格差のない社会を実現して、再び仕事を楽しめる時を迎えたいものです。それだけに、この非常事態に立ち向かっている医療関係者、そしてエッセンシャル・ワーカーへ、エールを贈りたいと思います。
コメントを残す